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Boe Wien News Blog

オフィスボウ・ウィーンの最新ニュースと、
世界各地で起きている出来事について語ります。
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素直に喜べないスー・チーさんの解放
 
ビルマ、ラングーンでのアウンサン・スー・チーさんの解放はウィーンでも大きく報道されました。13日自宅前の鉄条網が撤去され、7年半ぶりに解放されたスー・チーさんが「民主化」への変わらぬ情熱を語り、それを支持者たちが感激して受け止める。ヨーロッパではおおむね「人権」「民主主義」両方の意味で喜ばしいこととして伝えられました。ただ、それはもちろん喜ばしいことなのですが、素直に喜べない側面もあります。
 
今回の「解放」が、民主化を望むビルマ人民の総意の下で、軍事政権が屈服する形で行われたのなら素直に喜びたいと思います。しかし事実は違うようです。 軍事政権はこの7年半の間に着々と政権基盤を固めてきました。 中国、インドなど周辺の大国との関係を強化し、欧米の経済制裁にも耐えていけるだけの経済基盤を整備しました。民主化の砦とも言われたNLDを解散させ、選挙では軍事政権側の大勝利を演出して見せました。今後は軍事政権側の望む形で「民政移管」へ進むといいます。

つまり、今回のスー・チーさんの解放は、軍事政権側からすれば「もう貴女など怖くない」という意思表示です。 軍事政権の背後にそびえる中国、インド、そして日本。 こうしたアジアの経済大国とのパイプがしっかりしている限り軍事政権はミャンマーを支配し続けることができます。欧米から人権問題や民主化への圧力があっても屈する必要がないからです。これが素直に喜べない理由です。

ビルマと言えば、我々の世代にとってはもうひとつ、ゴールデン・トライアングルのイメージが強く残っています。 タイ・ビルマ・ラオス3国の国境が交わる地帯に位置する「黄金の三角地帯」と呼ばれるケシの栽培地域。 独立色の強い少数民族カレン族や麻薬王クンサーの名前でも知られました。 一説によれば、軍事政権はこの地域での麻薬製造を国家事業として行っているそうです。それが事実だとすれば、軍事政権はアジアの経済大国と手を組みながら麻薬で資金を稼いでいることになります。

軍事政権が国名をミャンマー首都をヤンゴンと改称した頃、私はニュースステーションに籍を置いていました。日本 政府は早々とこの軍事政権を承認しましたが、報道現場にいた我々は軍事政権を認めたくありませんでした。当時キャスターだった久米宏さんも参加して内部 で議論が交わされ、番組の姿勢として国名を「ビルマ」首都を「ラングーン」として報道を続けることにしました。だから私は今もこの国をミャンマーという呼ぶ気がしません。

ちなみに今回のスーチーさん解放のニュースでは、日本の新聞は「ミャンマー(ビルマ)」として伝えましたが、ウィーンの新聞は「ビルマ(ミャンマー)」の出来事として伝えていました。軍事政権に対する評価が微妙に分かれているように感じます。

スー・チーさんは解放後の演説の中で「習得することの大切さ」を語りました。民主主義の大切さを学び習得することは世界中どこの国の人にも重要だ、と訴えたのです。それは我々日本人の心にも響く言葉です。

今後スー・チーさんの目指す「民主化」がビルマの隅々にまで浸透し、再び大きなうねりとなって軍政を倒し、麻薬畑を転作に導いてくれることを心から願います。今回の解放はその新たな闘いのスタートラインに過ぎないのではないでしょうか?
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