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Boe Wien News Blog

オフィスボウ・ウィーンの最新ニュースと、
世界各地で起きている出来事について語ります。
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揺れるヨーロッパ
 日本で「横浜APEC」と「尖閣ビデオ流出事件」に関心が集まる中、ヨーロッパは大きく揺れ始めています。

揺れるヨーロッパを象徴する出来事がロンドンで起きた学生暴動。
11月10日、大学の授業料値上げに反発した学生たちのデモが暴徒化し、議会のあるウェストミンスターで与党の保守党本部のガラスを割るなどして警官隊と衝突し、双方に負傷者が出る事態となってしまいました。

東京で言えば永田町に当たるウェストミンスターは、今もイラク戦争参戦に抗議する活動家たちがテント生活をしながら抗議活動を続けたり、スリランカで政府軍の総攻撃が行われた時にはロンドン在住のスリランカ人が攻撃中止を求めてデモを行ったりと、政治的な抗議活動の中心になっています。

今回のデモは参加者数千人とも言われますが、学生たちが反対する大学授業料の値上げは政府案で現行の3倍にもあたる年間120万円というもので、学生たちの主張を無理もないとする意見が主流でした。しかし本来平和的なデモが暴徒化することで、都市は騒然とした空気に包まれ社会不安が広がります。警察官の数が増え街にギスギスした雰囲気が漂います。

根底にあるのは経済問題です。「ギリシャ危機」で起こったアテネでの暴動事件も、年金や補助金のカットに始まる政府の歳出削減が発端でした。EU諸国は一致してギリシャを救うことにしましたが、経済的な問題はEU各国で共通に存在し、市民、取り分け若者たちが不満を募らせています。フランスでもオーストリアでも学生のデモが盛んに行われています。いずれも年金の支給年齢を遅らせるなど、次世代に負担を押し付ける政策が不満の対象になっています。

もう一つヨーロッパが揺れている原因は移民問題です。
失業者が増える中、移民政策をめぐって様々な議論が巻き起こっています。

フランスで起きたイスラム系女性のスカーフ問題、スイスで起きたミナレット建設禁止の問題などをきっかけに、移民のホスト国で議論が高まっています。EUでは移民に対してインテグレーション(統合)を政策として進めるようにしてきました。ホスト国の言葉を勉強できる環境を整える一方で、移民申請の条件に言葉が出来ることを加えるなどの動きも出ています。

こうした中オーストリアでトルコからの移民をめぐる問題が起きました。ある牛乳メーカーがパックにトルコ語での説明を加えたことで国中から非難を浴びたのです。せっかく進んでいるインテグレーションと逆行するというのです。これまでならメーカー側が記載をやめて一件落着だったかもしれませんが、こうした状況に対して今度は在オーストリアのトルコ大使が噛み付きました。「オーストリア人は他国の文化に関心が無い」と言い放ったのです。この発言にオーストリア側も反発し外交問題にまで発展しつつあります。

これまでオーストリアは、移民の制限を掲げる極右政党が支持を伸ばしたり、ドイツ語の授業を移民申請の条件に加えたりと、移民に対して不寛容なイメージが先行してきました。でも実はオーストリアはEUの中でも有数の移民受入国です。率で言えばドイツと同じ10〜12%で国民の10人に一人は移民ということになります。これはルクセンブルクやスイスに次いでヨーロッパで3番目となります。もともと歴史的に東欧諸国と関係が深いオーストリアでは、トルコ以外にも旧ユーゴ諸国を含む東欧からの移民を多く受け入れてきたからです。ところが不景気になり失業率が増えると、必ず「移民が仕事を奪っている」という発言で人気を取ろうとする政治家や政党が現れ事態を悪化させるのです。

学生の不満も移民の不満も、揺れるヨーロッパの原因を作っているのは不況であり経済問題です。ギリシャの財政破綻に続いてこれまで優等生だったアイルランドにも財政破綻の危機が訪れていると言われます。過去にも世界的な不況がヨーロッパから始まったことを考えると、今ヨーロッパで起きていることにもっと関心を持って慎重に見つめていくことが求められているように感じます。
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